世界陸上展望

もう余り時間が無いのですが、始まるまでの間、個人的にいくつかの種目の見所を紹介したいと思いますよ。

男子100m

当初、五輪優勝のジャスティン・ガトリン、世界記録更新のアサファ・パウエル、そして五輪・世界選手権の王者で元世界記録保持者のモーリス・グリーンの三強対決となるかに思っていたのですが、グリーンが全米選手権決勝で負傷し、出場権を逃しました。
なので、ガトリンVSパウエルの構図ではあったのですが、パウエルが先日の英国グランプリで負傷し、世界選手権を欠場することになってしまいました。
なので、ガトリンの優勝が有力となりました。ガトリンは全米選手権で二冠を達成するなど、その実力は間違いなく上がっています。
ガトリンの優勝を阻む可能性があるのは、米国のショーン・クロフォードでしたが、彼も怪我が言えず欠場するようです。
残るは、ガトリンがダークホースとしてあげた、ポルトガルのフランシス・オビクウェルでしょうか。当初ほどの盛り上がりはなさそうですが、「速い」だけでは勝てないのが100mです。速さのほかに、4ラウンドを走りきるスタミナ、力配分などの戦略、メンタルコントロールなど、肉体的・精神的「強さ」が必要となります。スタートで出遅れる、最後にかたくなるなどしてしまうだけでも負けてしまいます。その競技の「世界一」を決める大会ですから、なおさら「速いだけ」では勝てないのです。
とはいえ、接戦の五輪を制し、今季も勝負に勝っているガトリンの優勝は堅いのではないでしょうか。

女子100m

昨年の五輪を制したベラルーシのネステレンコの調子がだめぽ。ここで優勝候補にあげられるのが、去年の五輪で三位になった、ジャマイカのキャンベルです。今季は追い風参考も含め、10秒台を三回記録、調子のよさが伺えます。ジャマイカ勢は昨年の五輪で、決勝に三人進出。4X100mR優勝の原動力となりました。このキャンベルに迫るのも、同じジャマイカの選手で、昨年六位のシンプソンも、10秒台一回、11秒0台二回と好調です。また、アメリカ勢も昨年二位のウィリアムズはじめ、三人とも有力です。他にも五輪四位のブルガリアのラロワ、ベストが10秒73のフランスのアーロンなど、多士済々です。キャンベルもうかうかしていると一気にメダル圏外に沈みかねません。男子以上に接戦が期待できそうです。

日本勢

10秒02、日本の大ベテラン・朝原宜治選手と、前回200m銅メダルの末続慎吾選手が出場予定です。
今季朝原選手の調子がイマイチですが、最後の世界大会となると思うので、その辺はしっかり合わせてきてくれるのではないでしょうか。末続選手も五輪のリベンジをして欲しいところ。前回はTV局と低能・織田雄二がやれ決勝だやれ9秒台だとか騒ぎ立てていましたが、世界の壁はそんなに甘くありません。ていうか日本人が国内で9秒出せないのに、海外の世界大会では出せるわけがないのです。トラックの質が違う(海外の方がやわらかくて記録が出にくい)んですから。だからといって、決勝進出の可能性がないとはいえません。メダルは無理でも、8番以内なら十分可能性があるのではないでしょうか。朝原選手には集大成といえる走りを、末続選手には北京への足がかりとして、いい走りを期待したいと思います。
個人的に、日本人選手が出るスプリント種目で、一番面白そうなのはヨンパーだったりしますが。世界チャンピオンの交代、日本人ハードラーの活躍など、その辺も後日紹介したいと思います。